Weekly digest
制度と数字の、その先の子どもへ — 居場所・学力調査・学用品 — 2026 年 7 月第 3 週の論点
今週は、子どもの居場所づくり、全国学力調査とデジタル教科書、学用品費の負担軽減が相次いでニュースになりました。数字や形が動くとき、一人ひとりの子どもにどう届くかを3つの論点で整理しています。
今週の論点
- 居場所は広がる、その先を誰が支えるか — 朝の担い手と不登校の自立
- 数字の比較より、目の前の子どもに — 学力調査の公表とデジタル教科書
- 負担軽減の知恵を、囲い込まず全国で — 学用品費の好事例周知
居場所は広がる、その先を誰が支えるか — 朝の担い手と不登校の自立
川崎市で「朝の居場所づくり」モデル事業が開始、始業前の小学校を活用し子供の安全を確保
川崎市は7月6日、保護者の就労支援や子供の安心・安全な居場所の確保を目的とし、小学校の始業前に児童を受け入れる「朝の居場所づくり」モデル事業を市内の3校で開始した。初日は3校で計113人の児童が利用し、図書室などで読書や […]
メタバースで不登校支援、埼玉県が2年目の運用開始 定員4倍の4000人、50自治体に拡大
文部科学省の調査によると、2024年度の小・中学校における不登校児童生徒数は35万3970人と過去最多を記録し、12年連続で増加している。埼玉県内でも同年度の公立小・中学校における不登校児童生徒数は1万7038人にのぼり […]
子どもの居場所をつくる動きが、今週は二つの形で表れました。川崎市は7月6日、就労支援と子どもの安全を目的に、始業前の小学校で児童を受け入れる「朝の居場所づくり」を3校で始め、初日は計113人が利用しました。将来は全115校への拡大を目指します。多様なニーズに応える前向きな取り組みですが、運営を担うのは地域のNPOやボランティア団体などの地域人材で、記事は対価や処遇に触れていません。担い手の処遇を定めないまま全校へ広げて続くのか——見合う対価をどう用意するかを決めるのは、拡大を進める川崎市です。
埼玉県は、教育メタバース「FAMcampus」を使った不登校支援の2年目を始めました。定員は従来の4倍の4000人分に広がります。背景には過去最多となった全国の小中の不登校(2024年度35万3970人)があり、同種の取り組みは神奈川県や東京都など各地に広がっています。オンラインの居場所が各地に増えるいま、問われるのはその先です。県の狙いも「社会的自立」に置かれています。つながった子が、そのあとどう暮らし、学びや社会とのつながりを取り戻して自立へ向かうのか——場所を用意することと同じだけ、その後の道筋を描く作業が県には残ります。
どちらの取り組みも、「場所をつくる」段階から「支え、つなげる」段階へ移ります。担い手の対価をどう用意するか、つながった子の自立をどう支えるか。設計が要るのは、いずれもここからです。
数字の比較より、目の前の子どもに — 学力調査の公表とデジタル教科書
全国学力調査 中学英語で初の全面CBT 4技能平均で499点
文科省は16日、令和8年度の全国学力・学習状況調査の結果の第1弾を公表した。本年度から中学校英語を全面的にCBT(コンピュータ型テスト)で実施し、「聞くこと」「読むこと」「書くこと」「話すこと」の4…
紙・デジタルの「融合型」 全校種で最多 教科書形態の意向調査
文科省が教育委員会と学校を対象に実施した教科書の形態に関する意向調査で、小中高校の全ての校種や教科を通じて、紙とデジタルを組み合わせた教科書(融合型)を望む意見が最も多かった。小学校では88・3%に…
文科省は7月16日、全国学力・学習状況調査の結果の第1弾を公表しました。中学校英語を初めて全面的にコンピュータ型テスト(CBT)で実施するなど、調査は年々かたちを変えています。結果は3回に分けて公表され、都道府県・政令市別の分析は9月以降に出る予定です。気がかりなのは、地域ごとの数字が並ぶと順位や比較に関心が向きやすいことです。調査はもともと個々の子どもの学習状況をつかむためのもので、序列を競うためのものではありません。数字の上下より、目の前の子どもに何が必要かを読み取れるかどうかで、調査の意味は変わります。
教科書のかたちをめぐっても、割合の数字が出ました。文科省の意向調査では、紙とデジタルを組み合わせた「ハイブリッドな形態」の教科書が全校種で最も多く、小学校では88.3%に上りました。ただ、紙とデジタルをどの割合で組み合わせるかは、学年と教科によって変わります。小学校の低・中学年ではどの教科でも、ほぼ紙か紙の方が多い形を望む回答が多く、高学年や中学校では教科ごとに差が出ます。英語や音楽、図画工作・美術では、デジタルの割合が半分程度以上を望む回答が多く見られる一方、国語や書写、算数・数学では紙を残したい意向が強いという結果です。ハイブリッドな形態が主流という数字だけでは、どの学年・どの教科でどう組み合わせるかまでは決まりません。そこは子どもの発達段階と教科の特性に合わせて、現場と一緒に育てていきます。
学力調査の点数も、教科書のデジタル化の割合も、数字や形そのものが目的ではありません。比較や流行に引きずられず、目の前の子どもと教科に即して使いこなす判断は、どちらでも学校と教育委員会が担います。
負担軽減の知恵を、囲い込まず全国で — 学用品費の好事例周知
学用品負担軽減へ、好事例周知 文科省
学用品に関する保護者の費用負担について文科省は17日、事務連絡を出し、全国で実施されている負担軽減事例を周知した。使用頻度などを考慮して保護者負担が必要か検討するよう要請。教員業務支援員が校内の教材…
文科省は7月17日、事務連絡を出し、学用品にかかる保護者の費用負担を軽くする各地の好事例を全国に周知しました。物価高を背景に、昨年6月の呼びかけで集まった取り組みをまとめたものです。使う頻度などを踏まえて保護者の負担が本当に必要かを検討するよう求めるとともに、教員業務支援員が校内の教材管理を担うなど、教員の負担軽減も併せて要請しています。
紹介された工夫はさまざまです。算数セットや辞典を学校の備品として整える、標準を満たせば指定品でなくてもよいとする、制服を見直す——家庭が当たり前に負担してきた費用を問い直す事例が並びます。物価高で家計が苦しむ家庭は少なくありません。こうした負担軽減の知恵が一部の自治体にとどまらず、コミュニティ・スクールやPTAとの話し合いも通じて他の地域にも広がるかどうかは、周知を受け取った各地の学校と教育委員会しだいです。
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