Weekly digest
PISA 2025の低得点層の増加・自殺予防週間の「命の授業」・横浜の教職イベント — 2026 年 9 月第 2 週の論点
OECDが9月8日に公表したPISA 2025で、日本は加盟国中3分野すべてで1位でしたが、基礎的な習熟度に届かない生徒の割合は3分野とも有意に上昇しました。9月2日には東京の中学校で、絵本作家による自殺予防の「命の授業」が行われました。
今週の論点
- 順位はトップ水準、低得点層は3分野とも増えた — PISA 2025の結果
- 年に1度で終わらせない — 絵本の読み聞かせによる「命の授業」
- 教職の魅力を現職教員の言葉で — 横浜市教委の学生向けイベント
順位はトップ水準、低得点層は3分野とも増えた — PISA 2025の結果
日本、学力世界トップレベル 3分野すべてでOECD1位に PISA調査
経済協力開発機構(OECD)は8日、15歳を対象に昨年実施したPISA(学習到達度調査)の結果を公表した。日本は、科学、読解力、数学の3分野全てでOECD加盟国中1位になるなど、世界トップ水準の学力…
【PISA2025】日本、3分野すべてOECD平均上回る…科学5位・数学5位・読解4位
経済協力開発機構(OECD)は2026年9月8日、国際的な学習到達度調査「PISA 2025」を発表した。日本は数学的リテラシーが全参加国・地域中5位、読解力が4位、科学コンピテンシーが5位となった。前回2022年調査と比較すると、3分野すべてで平均得点が低下したものの、いずれもOECD平均を上回った。
経済協力開発機構(OECD)が9月8日、2025年に実施した学習到達度調査(PISA)の結果を公表しました。日本は全参加国・地域の中で科学5位・読解力4位・数学5位、OECD加盟国の中では3分野すべてで1位です。3分野そろって加盟国中1位になったのは調査開始以降初めてです。一方、読解力の平均得点は前回から13点下がり、統計的にも有意に低下しました。
2本の記事が見出しにしていない点が、文部科学省・国立教育政策研究所の「PISA2025のポイント」にあります。基礎的な習熟度に届かない生徒(習熟度レベル1以下)の割合が、3分野すべてで前回から有意に上昇しました。科学は8.0%から11.3%、読解力は13.8%から18.6%、数学は12.0%から16.1%です。高得点層(レベル5以上)の割合には有意な変化がありません。読解力では上位10%の得点が横ばいのまま、下位10%の得点が387点から360点へ有意に下がり、両者の差は249点から272点に広がりました。
平均点と順位だけを見るとトップ水準ですが、読解力では上位が変わらず下位だけが落ちており、得点の分布は下に向かって広がっています。ここで広がっているというのは、上位層と下位層の得点差のことです。科学と数学も、低得点層の割合だけが有意に増えました。一方、家庭環境による得点差は別です。同じ資料は、科学コンピテンシーでは家庭の社会経済的背景が得点のばらつきに影響する度合いがOECD平均より小さく、日本は「一貫して社会経済的公正性が高い」としています。
低得点層が増えた理由を資料は述べていません。次の調査までの4年間、低得点層が増える動きが続くのかどうかを見ていくことになります。
年に1度で終わらせない — 絵本の読み聞かせによる「命の授業」
今年で20年目 絵本の読み聞かせによる子供の自殺予防教育 作家が小中学校で1300回以上実施
夏休み明け、各種メディアでも盛んに取り上げられるように、憂鬱になったり、不安を抱える児童生徒は少なくない。 ただしこの時期に限らず、子供たちの心の健康のための教育はますます求められている。 日本では2025年、小学生から […]
9月10日から16日は自殺予防週間です。9月2日には江東区立深川第七中学校で、1年生72人を対象に、絵本作家の夢ら丘実果氏と吉澤誠氏が読み聞かせを通じた「命の授業」を行いました。両氏の出前授業は全国で1,300回以上になり、道徳や保健体育、学活などの時間で、発達段階に応じて実施されています。
背景には、6月の号でも扱った数字があります。厚生労働省は自殺予防週間の発表で、令和7年の小中高生の自殺者数が統計開始以降最多の538人だったと改めて示しています。
夢ら丘氏は「例えば先生に相談しても、先生が忙しくて対応できないこともある。そんな時は他の人に相談すればいい」と語っています。保護者も教員も、一人で受け止めきれない場面があるという前提に立つほうが現実に近いはずです。
吉澤氏の「継続的、体系的に行うことが重要」という言葉は、この前提の上で効いてきます。自殺予防週間の啓発や年に1度の出前授業で終わらせず、教科や学活の時間に組み込んで、続けていくほかありません。電話やSNSの相談窓口は、厚生労働省の「まもろうよこころ」で確認できます。
教職の魅力を現職教員の言葉で — 横浜市教委の学生向けイベント
横浜市教委がミライの先生Fes
横浜市教委は4日、教員志望の大学生に教職の魅力を伝えるイベントを横浜市内で開いた。学生や市立学校教員ら約400人が参加。本年度から全市立小学校で導入したチーム担任制をテーマにしたパネルディスカッショ…
横浜市教育委員会が9月4日、教員志望の学生らに向けたイベント「ミライの先生Fes」を横浜ランドマークホールで開きました。学生や市立学校の教員ら約400人が参加し、有志の大学生が企画・運営を担いました。
トークセッションのテーマは、市が今年度から全小学校で展開するチーム担任制と、新任教員を一人で担任にしない「横浜型スタートアップモデル」(モデル校で実施)でした。登壇した小学校教員からは「気づかなかったことを他の教員に気づいてもらえる」「自分だけのクラスから学年の教員皆で育てる意識に変わった」という声がありました。市の令和8年度予算概要によれば、チーム担任制は授業以外の学級担任業務も分担する仕組みです。市は全小学校で展開しながら、研究・検証を行うモデル校を設定する段階にあります。
主催は雇用主である市教委で、このイベントは採用広報の場でもあります。それでも、これだけの規模で現職教員と学生が直接話す場を自治体が用意すること自体に意味があります。登壇者だけでなく交流ブースでも、いろいろな現職教員の話を聞ける構成でした。
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