Weekly digest
幼稚園の教職調整額・次期指導要領の新しい用語・体育館の冷房整備 — 2026 年 8 月第 1 週の論点
教職調整額を支給していない公立幼稚園が多数あり、文部科学省が是正を求める通知を出したと報じられました。次期学習指導要領では「統合的な理解」「総合的な発揮」という用語が検討されています。公立小中学校の体育館等に冷房があるのは31.7%にとどまります。
今週の論点
- 支給しない園があると報じられた — 幼稚園と給特法
- アクティブ・ラーニングは何を残したか — 次期学習指導要領の新しい呼称
- 同じ暑さなのに備えに開きがある — 避難所にもなる体育館の冷房
支給しない園があると報じられた — 幼稚園と給特法
公立幼稚園の7割、教職調整額を支給せず
教諭に教職調整額を支給していない公立幼稚園が約7割あることが、文科省の調査で明らかになった。このうち、今後も教職調整額を支給する計画がない幼稚園が9割近くを占めていた。結果を受けて同省は7月23日に…
給特法は、幼稚園の主幹教諭や教諭などには給料月額の4%を基準とする教職調整額を支給し、時間外勤務手当と休日勤務手当は支給しないと定めています。その教職調整額を支給していない公立幼稚園が多数あり、文部科学省が7月23日に是正を求める通知を出したと、日本教育新聞が8月5日に報じました。
昨年の改正でも、幼稚園の4%は据え置かれています。小中学校などの調整額が段階的に10%へ引き上げられる一方、子ども・子育て支援新制度の枠組みで処遇改善の財政措置が講じられていることなどを理由に、幼稚園は現状維持とされました。同じ改正法の附則は勤務状況の調査を定めますが、その対象にも幼稚園は入っておらず、参議院文教科学委員会が附帯決議で、幼稚園教員の処遇改善に資する財政措置とその効果を継続的にフォローアップするよう求めています。
不支給の把握は昨年から予告されていました。昨年9月の文部科学事務次官通知が、給与上の措置が講じられていない市町村があることを前提に都道府県と指定都市へ十分な指導を求め、支給状況を別途把握する予定だと書き添えています。日本教育新聞によれば、支給していない理由には「時間外勤務手当を支給している」という回答や、幼保連携型認定こども園などとの人事異動があるため幼稚園だけに支給すると他の職種と不均衡になる、という回答が含まれていました。
教職調整額には、残業代を支給しない仕組みと一体であることから「定額働かせ放題」という批判があります。給特法はその二つを一体で定めているため、調整額を払わずに残業代を払う運用も法の形からは外れます。報道のとおりであれば、国が支給しなければならないと定めた手当が、園によって支給されたりされなかったりしていることになります。その状態が続いてよいはずがありません。給与制度を条例で定めるのは市町村なので、是正はそこから始まります。
アクティブ・ラーニングは何を残したか — 次期学習指導要領の新しい呼称
「統合的理解」「総合的発揮」 目標の方向性に
文科省は4日、中央教育審議会の教育課程企画特別部会に、次期学習指導要領の審議まとめに向けた検討案を示した。「深い学び」を実現するため、知識を相互に結び付けて理解した状態を「統合的な理解」、思考力や判…
文部科学省は8月4日、中央教育審議会の教育課程企画特別部会に、次期学習指導要領の審議まとめに向けた検討案を示しました。個別の知識や技能が相互に関連付けられ、一般化された状態を「統合的な理解」と呼びます。個別の思考力・判断力・表現力などを組み合わせたり選んだりして総合的に働かせた状態が「総合的な発揮」です。達成の度合いを測る目標ではなく、内容のまとまりごとに資質・能力の伸ばし方を示す「方向目標」として置く考えです。
新しい言葉が出てくるたびに、言葉だけが先に広がります。平成28年の答申は、アクティブ・ラーニングをめぐって「特定の学習や指導の『型』に拘泥する事態を招きかねない」という指摘があったことを書き留め、そのうえで目指すのは「特定の型を普及させることではなく」と断っていました。それでも広まったのは型で、大事なことは後回しです。
今回の検討案は、「統合的な理解・総合的な発揮」のみを取り出して規準を設定し達成状況を評価することは求めないとしたうえで、学習評価と無関係だという誤解が生じないよう丁寧な説明が要るとも書いています。ただ、覚える名前が増えることに変わりはありません。前回の改訂で入った「見方・考え方」や「深い学び」は、名前を変えずに今回の案にも残りました。本当に大事な言葉は残り続けます。名前を足すことより、その中身を一貫して伝え続けることが、言葉を決めた国の仕事です。
同じ暑さなのに備えに開きがある — 避難所にもなる体育館の冷房
公立小中学校の普通教室エアコン設置率は99.6%に上昇、一方で体育館の整備遅れが課題に
文部科学省は7月30日、全国の公立学校施設における空調(冷房)設備の設置状況(5月1日現在)を取りまとめた調査結果を公表した。 公立小中学校の普通教室における冷房設置率は99.6%に達し、前回の2024年9月調査(99. […]
文部科学省は7月30日、公立学校施設の空調設備の設置状況を公表しました。今年5月1日時点で、公立小中学校の普通教室の設置率が99.6%に達した一方、体育館・武道場のうち冷房があるのは31.7%でした。こちらは1年前の22.7%から9.0ポイント上がっています。
地域の差は大きいままです。東京都は95.6%ですが、1割に満たない道県が13あり、最も低い佐賀県は0.8%でした。整備を担うのは主に市町村で、都道府県別の数字はその合計です。
猛暑は地域を選びません。体育館は避難所に指定されていることも多く、災害時には暑さのなかで人が過ごす場所になります。国は避難所等にもなる公立小中学校の体育館等について、令和17年度までに設置率を100%にする目標を第1次国土強靱化実施中期計画に掲げ、整備に使う交付金も避難所に指定された学校であることを補助要件にしています。ただ、避難所に指定された学校の体育館・武道場に限っても33.1%にとどまります。目標の年まではあと9年あり、整備の遅れている地域ほど前倒しを考えてほしいところです。
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