Weekly digest
OECDの教員不足特集・生駒市のサプライティーチャー実証・大阪市の保護者対応チーム構想 — 2026 年 10 月第 2 週の論点
OECDが9月29日に公表した「図表でみる教育2026」では、他の職業を経て教職に転じた教員の割合が、OECD平均の8.4%に対し日本は0.9%でした。奈良県生駒市では10月1日、教員の短期の不在を埋めるサプライティーチャー制度の実証が始まりました。
今週の論点
- 異業種から教職に就く人は少なく、欠員も少ない — OECD「図表でみる教育2026」
- 研修や休暇の不在を、あらかじめ任用した教員が埋める — 生駒市のサプライティーチャー実証
- 困難な保護者対応に教委が直接介入する体制へ — 9月の総合教育会議で大阪市が確認
異業種から教職に就く人は少なく、欠員も少ない — OECD「図表でみる教育2026」
異業種から教職に転職、日本は0・9% OECD調査
経済協力開発機構(OECD)が9月29日に公表した「図表でみる教育2026年版」で、加盟国の多くが教員不足に直面し、特に理数系や地方、社会経済的に不利な地域で確保が難しくなっていることが分かった。日…
経済協力開発機構(OECD)は9月29日、「図表でみる教育(Education at a Glance)2026」を公表しました。今年は教員不足を特集しています。日本では、初等・中等教育段階で年度当初かその直後に埋まっていない教員ポストの割合が、2021/22年度の0.2%から2025/26年度の0.4%に上昇しました。OECDはこれを低い水準としています。
OECDは、他の職業を経験した後に教職へ転じる「セカンドキャリア教員」の採用を、教員不足への一般的な方策と位置づけています。中学校相当の教員に占めるセカンドキャリア教員の割合は、OECD平均の8.4%に対し、日本は0.9%にとどまります。日本は、OECDの分類で正式な資格を持たない教員がいない、数少ない国の一つでもあります。
給与以外の勤務条件に満足している中学校相当の教員は、日本で37.3%と、OECD平均の68.4%を下回りました。給与に満足している割合も、日本は28.6%で、OECD平均の38.7%を下回っています。
こうした数値は、欠員がまだ少なく、OECDの分類で正式な資格を持たない教員がいない点と合わせて読む必要があります。それでも、セカンドキャリア教員の割合や勤務条件への満足度でOECD平均との違いは大きく、他国の教員確保の進め方から学べることもありそうです。日本のカントリーノートは日本語版も公開されており、全文を読んでみる価値があります。
研修や休暇の不在を、あらかじめ任用した教員が埋める — 生駒市のサプライティーチャー実証
「サプライティーチャー」の効果を検証 奈良・生駒市で実証事業
奈良県教委と生駒市教委は今月から、教員が一時的に不在となる場合に、代わりに授業を行う非常勤講師を派遣する取り組みを始めた。全国初の取り組みで、学期中でも教員が休暇を取得しやすい環境をつくる狙い。「日…
奈良県生駒市教育委員会は10月1日、「サプライティーチャー制度」の実証を始めました。教員が研修や休暇などで短期間不在になるときに、あらかじめ任用した教員を派遣して授業などを代替する仕組みです。
文部科学省は「日本版『サプライティーチャー』」の仕組みづくりを掲げており、中央教育審議会の部会では2025年7月にイングランドの制度が紹介されました。イングランドでは派遣会社などの事業者を通じた手配が中心です。2022/23年度には、学校が払う額のかなりの部分が手数料に回っていました。英国教育省の委託調査では、給与に不満と答えた人の割合は、派遣会社経由で働く人で70%、学校に直接雇われている人で29%でした。調査の回答者は無作為抽出ではありません。2026年春には、政府の調達枠組みを通じた契約で、派遣会社の手数料に上限が設けられました。
生駒市の制度は、あらかじめ任用した教員を派遣する形で、イングランドの派遣会社経由の手配とは仕組みが異なります。公表資料に報酬は示されていませんが、給与への不満を招かない仕組みになっているかは、今後の実証で見ておきたい点です。
困難な保護者対応に教委が直接介入する体制へ — 9月の総合教育会議で大阪市が確認
保護者対応で専門職チーム設置へ 大阪市教委
学校への過剰な苦情や不当要求への対応として大阪市教委は来年度から、弁護士や福祉・心理の専門家などでつくる専門職チームを常設する。9月に開かれた総合教育会議で明らかにした。専門家が直接介入することで早…
大阪市は9月11日の総合教育会議で、令和9年度から教育委員会が主体となって学校園を支える新たな支援体制の構築をめざすことを確認しました。一部の保護者等からの過剰な要求や不当な言動など、学校園だけでは解決が難しい事案に、直接・継続的に介入する体制です。市教委の資料は、4つの教育ブロックごとに、弁護士や校長OB、スクールソーシャルワーカーなどを例とする専門職チームを常設配置することを想定しています。
形は異なりますが、行政が学校に代わって保護者に対応する例はすでにあります。奈良県天理市は2024年度に「ほっとステーション」を設け、校園所長の経験者や心理士などが常駐して保護者からの相談に応じています。文部科学省が公表した令和7年度(2025年度)モデル事業の取組概要では、対応ケース164件(2026年2月末時点)の約9割が課題解決したとされています。同じ取組概要によると、保護者対応に起因する退職者は2年連続で0人でした。
一方で、取組概要は、学校によって活用の頻度や有効感に濃淡があることも課題に挙げています。天理市議会では、行政が先に乗り出すと学校の主体性を奪うという意見のほか、事業を評価する立場から、介入を拒否したい保護者の思いをどうするかを問う声も出ました。天理市が大学に委託した検証の結果は、確認できた範囲ではまだ公表されていません。大阪市のチームがどのような働きをするのかは、令和9年度以降の運用で見えてきます。
関連リンク(姉妹サイト)
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